病気やケガの時に助かる!高額療養費制度を徹底解説【知っておきたいお金の知識#2】

みなさまこんにちは、今日も一日お疲れさまです!

想定外の病気やケガをした時、ただでさえ不安なのに、お金の心配があるとさらに不安になりますよね。

私も入院・手術をするまで知らずにいたのですが、こんな制度があったんだ!と感動したのが「高額療養費制度」

とっても助かる制度ですが、自分で手続きをしないともらえないお金なので、覚えておくといつか役立つときが来るかもしれません。

必要になったときは慌てずに、制度が使えるか確認してみましょう。

さくっと解説!高額療養費制度とは?

ひとことで言うとこんな制度です。

  • 1ヶ月で支払う医療費の限度額を超えたら、超過分は自己負担しなくていい
  • 自己負担限度額は、年齢・年収によって決まる
  • 複数の病院の支払い、家族の医療費は合算できる
超過分は誰が払ってくれる?
 超過分は保険から支払われる仕組み

病気やケガをして病院で診察を受けたら、たいていの人は、実際にかかった医療費の3割(年齢や所得に応じて13)を負担していますよね。

日本では、全ての国民が公的医療保険に加入することを義務づける国民皆保険制度を取り入れています。

支払った3割以外の医療費は、加入している健康保険によって負担されているため、私たちは安心して医療を受けることができます。

高額療養費制度は、その健康保険の保障の1つです。

高額療養費制度が使えるのは?

どんな時に制度が使えるのか、細かい要件をみていきましょう。

対象となる期間は?
任意の月の1日から末日までの1ヶ月間

ポイントは、月単位であること。

例えば、月をまたいで入院した場合は、入院単位でかかった費用ではなく、それぞれの月で限度額を計算し、月毎の申請が必要です。

限度額はいくら?
年齢や所得区分に応じて決まります。
詳しくは後述しますが、大きくは70歳以上、70歳未満で分けられます。
対象になるのは誰?
健康保険加入者国民健康保険・健康保険組合・全国健康保険協会等)です。
細かい規定等は、加入している健康保険によって異なります。

自己負担限度額はいくら?

年齢と所得によって限度額が決められています

 平成298月以降、70歳以上の人の医療費の限度額が段階的に見直されることが決まりました。

詳しくは下記の通りです。なお、70歳未満(69歳以下)の人の限度額に変更はありません。

69歳以下の方の上限額

70歳以上の方の上限額(平成308月診療分から)

高額療養費制度を利用される皆さまへについて紹介しています。…

自己負担額を計算してみよう

もし「医療費の100万円かかった場合」、具体的にどのように算出するかみてみましょう。

状況設定

  • 健康保険に加入しているAさんが、病気で入院・手術し、全部で100万円かかった
  • 年齢:35
  • 年収:600万

計算方法 

  • 高額療養費制度を使うと、上記の表より、35歳年収600万の場合、
    「8100+(医療費総額-267,000円)×1%。」に該当。
    8100+(100万円-267,000円)×1%=87,430
  • 本来の自己負担金額(3割負担)→100万円×0.3=30万円
最終的に100万円が87,430円で済んだ!
こう考えると、なんとも大助かりな制度ですね!

高額療養費制度の申請方法は?

医療費を支払う前か支払った後に健康保険組合に申請します

高額療養費制度を利用する際は、自分が加入している健康保険(公的医療保険)に申請書を提出します。

事前でも事後の申請方法でも自己負担額に変わりはありませんが、あらかじめ入院や手術の予定が決まっている人は、限度額適用認定証を利用するとスムーズです。

医療費を先に支払って、後から申請する方法

  1. 支払時に医療費の自己負担分3割を支払う
  2. 加入している健康保険に申請
  3. 申請が認められれば3ヶ月を目途に限度額を超えた分が払い戻される

※申請には期限があります。期限は診療を受けた月の翌月の初日から2年間となりますので、必ずこの期間内に申請しましょう。

申請が漏れていても2年以内であれば、遡って申請することができますので、もし入院等をして高額医療費を支払ったという覚えがある人は確認してみましょう。

事前申請する方法

  1. 加入している健康保険の窓口に、「限度額適用認定証」の発行を申請する
  2. 申請が認められた後、限度額適用認定証が交付される
  3. 支払時に保険証と限度額適用認定証を提出し、限度額までの金額を支払う

※限度額適用認定証の交付手続きが必要なのは70歳未満の人のみで、70歳以上の人は自動的に支払いが限度額までとなります。

対象とならない医療費は?

支払った医療費全てにこの制度が適用されるわけではありません。

元から健康保険が適用されず、全額自己負担となるものは適用外となります。具体的には以下のようなものがあります。

適用外となるもの

  • 自然分娩による出産
  • 美容や審美を目的とした自由診療の歯科治療
  • 先進医療にかかる費用
  • 差額ベッド代
  • 入院時の食事代

 ※出産時に緊急で帝王切開をすることになった場合など、治療を要するものは保険が適用されるので、高額療養費の対象となります。

さらに負担を減らせる場合は?

条件次第でさらに家計の負担を減らせる場合があります。以下の2パターンについて説明します。

  • 世帯で合算できるとき
  • 1年以内に4回目以降高額療養費制度を使うとき

世帯合算

高額療養費制度では、同世帯の人であれば、医療費を合算することができます。ここでの「世帯」とは、同一の医療保険の加入者を意味します。

 ※同じ家で暮らしていても共働き夫婦等で別々の健康保険に加入している場合、同一世帯とは認められず、医療費の合算をすることができません。

 ※75歳以上の人が対象となる後期高齢者医療制度被保険者の場合も、異なる健康保険となるため、合算はできません。

世帯合算できる場合

  • 同一の人が、同月中に複数の医療機関(同じ医療機関でも医科と歯科は別で計算)を受診した
  • 同世帯の複数の人が、同月中にそれぞれ医療機関を受診した
  • 1つの医療機関で入院と外来で受診した(入院と外来は別で計算)
  • 70歳未満の場合、レセプト1枚につき、21,000円以上の自己負担額の支払いをした(21,000円を下回る場合は合算の対象外)

※レセプトとは、診察報酬明細書のことで、医療機関が医療費の請求のために各健康保険に提出する明細書です。月単位、患者単位で、入院・外来・医科・歯科に分類され発行されます。

※ 医療機関から処方箋を交付され、院外処方とし調剤薬局で薬を受け取った場合、この調剤薬局での支払い額は、処方箋を交付した医療機関のものと合わせて計算されます。また、70歳以上の場合、金額の制限はなく全て合算可能です。

多数該当

  • 診察や治療を行い、直近1年間(12ヶ月)で、3回以上高額療養費制度を利用している場合は、4回目以降はさらに限度額が引き下げられるという制度です。

 ※ただし、転職や退職等により加入している健康保険が変わった場合は、直近1年間の支給回数は通算されません。

まとめ 

高額療養費制度とは、「年齢や所得区分に応じて1ヶ月で支払う高額医療費の限度額が定められていて、限度額を超えた分は払い戻しを受けることができる」ものです。

医療費が高額になってしまった時に助かる制度ですよね。必要になった場合はぜひ活用しましょう。

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